「……ハァ…」
着いた。
すでに辺りは薄暗くなっていた。
相変わらず、寒い。
「ハァ……っ…」
歩いて帰るには……
荷物が重すぎる。
涙がまだ止まらないし…
タクシーか……
つかまるかな…
私がタクシー乗り場まで歩き始めたときだった。
「夜深…」
「……?」
この声……
私は声がした方をゆっくりと振り向いた。
「……唯人君…」
「やっと帰ってきた。」
「っ……唯…人君…」
「夜深…?」
私は荷物をその場に置いて勢いよく唯人君の胸に飛び込んだ。
「どうした?夜深…泣いてるの?」
「会いたかったよ…」
「俺も。二日会えないだけで寂しかった。…寒くない?」
唯人君は優しく私の頭を撫でてそう言った。
「…ちょっと寒いかな。手が冷えちゃった…」
私はそう呟いて唯人君を見上げた。