道行く中、どれだけの人に振り替えられただろう

「大丈夫?りんご、あげようか?」

心配してくれたあばあちゃんからりんごをもらった

あたしはまた走り出す

「はぁはぁ、」

家の扉をおもいっきり閉めて座り込む

「おかえり」

「…え?」

そこにいたのは…

「もみじ君、どうして…」

「だってここ、俺んちだもん」

「だから、あんたっちじゃないっつぅの!!」

「なんで泣いてんだよ、何、さっきのもう会えないから別れの言葉的なの」

「だって、もう会えないから。支度するから、」

あたしは部屋へと入り、クローゼットから服を全て取り出す

「お父さん、病気なの。側にいてあげないと、」

「楓はいいんだ?」

「もう会えないんだし、別に」

「あの日会ったのは俺じゃない」

「は?」

鼻水をすすってもみじ君のほうを見る

「受験日に桜の木下で出会ったのは俺じゃない、」