―休み時間
「ねぇねぇ。カナって好きな人できた??」

ユキがいった。

まさか。まだ転入してから3日だよ??
「うーん…まだいないよ。」

「そっか…じゃあ萩原とかは??けっこうイケメンって感じじゃない??」

「萩原ユウヤ??」
…あれっ?

人の名前を覚えないあたしがおぼえてる。

「カナが人の名前一発で覚えるって珍しくない?」



ほんとだ。何でだろ。


なんとなく懐かしい名前…

気のせいか。

うん。気のせいだ。

あたしは自分にこういいきかせ気を落ち着かせた。


―帰宅

「はぁ…」
重い足で帰宅。
帰っても小姑みたいな母が待ってるだけ。

でも、なんだか今日はいつもよりは軽い気がした。

「ただいま。」
学校にいるときとは全然違うこえでいった。

「おかえり。そういえば、転入したクラスに萩原くんっていない??」

「いるよ。」

「下の名前わかる??」

「萩原ユウヤ。」

「ユウヤ?…そう、ありがとう。」

「それがどうかした??」
「あっ、別に。大丈夫よ。」

へんなの。
あんな母はじめてみた。
まぁいいや。

この時はそんなに気にしなかった。

でも……