「亜依ちゃん、また颯太に断られたの?懲りないねー亜依ちゃんも」


あたしの胸の中でワンワン泣いてる亜依の頭を、バカ男が馴れ馴れしく撫でる。


「亜依に触んないで。変態がうつる」

っていうか、あたしの亜依に気安く触るなッ!!


「バーカ。これは大人の男の優しさだ」

「はあ?ただ亜依に触りたいだけでしょうが!このチカン男ッ!!」

「お前、ホント可愛くないな。少しは亜依ちゃん見習えば?」


ーーー…ズキン。


そんなこと、言われなくても分かってるもん。

どうせあたしは可愛くないよ。

亜依みたいになりたいって思ったって、口が勝手に動くんだもん。


好きな人に……

『変態』って言っちゃうような、可愛さのカケラもない女ですよー…だ。


「悪かったわね……亜依みたいじゃなくて」

「は?虹那?」

「何よ」

「や、なんかいつもとその……違わねー?」


楓がなぜか、あたしを見ようとしない。

あれ?もしかして顔、赤い?