キス?

……ってあの、キス?

ボッという音が聞こえた気がする。

それくらい瞬時にあたしの顔が真っ赤になったのが分かった。

今が夜で本当によかった……。


「虹那?やっぱいきなりはダメだよな……」

「ううん。あの、それは嬉しいんだけど、ただ……」

「ただ何?」

「わ、笑わない?」

「何なんだよ」


あたしは今でも、童話の王子様とお姫様に憧れてるの。

そんなあたしがこの夢の国で思いつくことなんて、ただ1つ。


「あのね?シンデレラ城の目の前で、花火が打ちあがる瞬間に……キスしたい」


こんなドリーミーなあたしを知ったら、楓は呆れちゃう?

でもね、こんなあたしも少しずつ知っていってほしいから。


「虹那って、意外に可愛いんだ?」

「……バカにしてない?」

「してねーよ」


その時、バンバンと花火が打ちあがり始めた。


「あっ、始まっちゃった」

「虹那、早くするぞ。終わる前に」

「なんかムードない……」

「うるせー。これでも必死なんだ!!」


そう言うと、楓は強引にあたしの唇を塞いだ。


長くて甘い、とろけそうなキス。

こんな人がたくさんいる場所でキスなんてありえないけど、今日だけは許してほしい。


聖なる夜の魔法にかかっただけだから。


楓、大好きだよ。

これからもあたしにたくさん“スキ”をちょうだいね?


あたしたちにかけられた魔法は、これからも解けることなく続いていくから。


【All My Love Kaede to Nina】


☆Merry Christmas☆