『楓……大好き』

あたしの心の中で、この言葉が何度もリピートされてる。

でももうあたし、楓を好きな気持ちが溢れ出しそう。

きっと今日が終わる頃、昨日よりもっと楓のこと好きになってる。

今はこのままでいいなんて……そんなのウソ。


あたし、楓の“スキ”がほしい。

だから魔法が解ける時間になったら、伝えてもいい?

あたしの“スキ”をーー…



「あー、さすがにこの時間はどこもレストラン混んでるな」

腕時計は午後1時を指していた。

楓がキョロキョロと周りを見渡してはマップに目を戻す。


「ねぇ楓。あたし、あれ乗りたい」

「え?どれ?」

あたしがマップで指差した先は

「ハニーハント?」

「そう!!」


乗り物は大嫌いだけど、プーさんが大好きなあたしは、ハニーハントだけは不思議と平気だったりする。

「でも虹那、気分悪くならねー?」

心配そうにあたしを見下ろす楓の腕に、自然と自分の腕を絡ませた。


「平気!プーさんはスキだもん♪」

「ぷっ。なんだそれ。まいっか。どうせ今レストラン入れねーし」


腕を組んだ手はしっかり恋人繋ぎしたまま、ハニーハントへ向かって歩き出した時。

「~♪~♪~♪」

突然楓の携帯が鳴って立ち止まる。

「ちょっとゴメン」

ディスプレイの画面を確認すると、楓が通話ボタンを押して話し始めた。


「もしもし?何?」

誰からだろう?なんて思いながらゆっくり歩いていると、今一番聞きたくない名前が耳に入る。


「はあ?レイカ、無理だって。無茶言うなよ」


……レイカちゃん?


その名前を聞いた途端、一気に不安が襲ってくる。