「うわー…すっごいキレイ……」
今日は12月24日のクリスマスイブで【亜依×颯太ドッキリラブラブ大作戦】の決行日。
亜依とあたしは待ち合わせの時間より5分前に着いたけど、颯太と楓の姿はまだない。
『颯太連れ出すのに手間取った!少し遅れるから』
なんてメールがさっき入ってきて。
ちゃんと颯太を連れ出せたことに期待が膨らんだ。
妄想の中の、亜依と颯太の「あはは」「うふふ」大作戦が上手くいきますように……。
待ち合わせ場所から見えるシンデレラ城に向かって、作戦成功祈願をした。
それにしても、イブだからか周りにいるのはカップルだらけ。
手をつないだり腕を組んだり、ラブラブな2人にとってクリスマスは、一番甘い時間だよね。
「皆幸せそう……」
消え入りそうな声でポツンと呟いた亜依を、思わず抱きしめそうになる。
だけど今日、その役目はきっと颯太だから。
だからあたしは、肩をポンと叩いてニッコリ笑った。
「大丈夫だって。ぜったいにうまくいくから」
「……うん。虹那ちゃんも、楓くんとうまくいくといいね」
亜依のふんわりした可愛い笑顔を見て、少しだけホッとする。
実はあたしも今日は朝からドキドキ緊張しっぱなし。
昨日なんてなかなか寝付けなかったし、寝る前に何時間も悩んで選んだ服も、朝になっていざ着てみると、本当にこれでいいのかまた悩み始めたりして。
楓との初めてのデート。
いつもとは違う、女の子らしいあたしもちゃんと見てほしいから。
完璧に恋する女の子だな……なんて自分で笑っちゃったけど。
だけど、不思議とそんな自分が好きだと思えた。
楓のために可愛くなりたい。
そんな女の子なあたしも、あたしだから。