「あ、当たり前だろ」
「意味分かんないよ。彼女ほったらかしにして、他の女とダブルデートするって……彼氏としてどうなの?」
イブに大好きな楓と過ごせるなんて夢みたいだけど。
それを素直に喜べない自分がいる。
あたしと過ごしたいって……どういう意味?
「あのさ、お前さっきから何か勘違いしてねー?」
「勘違い?」
「彼氏とか彼女とかって。オレとレイカのこと言ってんだろうけど、オレたちはただの幼馴染で、それ以上でも以下でもねーから」
ーーー…え?
二人は付き合ってるわけじゃないの?
「……っ、嘘!!だっていつも二人一緒に登下校してんじゃん!腕だって組んで、どう見たってラブラブのカップルだよ!!」
つい興奮して声が大きくなる。
「しょうがねーだろ、登下校は。家が隣同士なんだから。腕組むのはアイツのクセだしな」
「はあ!?」
何それ!!
登下校はまぁ仕方ないにしても、腕組むのは違うんじゃないの!?
クセだからって……クセだからって……有り得ないッ!!
「とにかく、オレとレイカは何もないから。だから虹那があいつのこと気にする必要はまったくねーよ」
「……」
気にすんなって言われても、気にするよ普通。
だって明らかにレイカちゃん、楓のこと好きじゃん。
休憩時間になる度に、用もないのにわざわざ他のクラスから駆けつけて楓にベッタリだし。
放課後はぜったいに迎えに来るし。
昨日だって、あたしと楓が2人でいただけでものすごい目で牽制されたし。
楓だってレイカちゃんの気持ち、とっくに気付いてるでしょ?