肩を抱かれただけで、あたしの心臓は痙攣を起こしそうなくらいバクバクいってる。
こんなの楓には知られたくなくて、あたしは勢いよく体を離した。
「何なのよ、一体」
「お前さ、あいつらのこと何とかしたいんじゃねーのかよ?」
「そ、そうだけど……」
「だったら協力してやろうぜ?亜依ちゃんが二人じゃ心細いとか言ってんだからさ、オレらが一肌脱ぐしかねーじゃん」
「な?」と言いながら、あたしの肩をぽんぽんと叩く。
そりゃ、あたしだって亜依のためになるなら協力したいけど……。
「なんで楓なの?」
一瞬驚いたような表情を見せた楓は、その後深いため息をついた。
「お前、そんなにオレがイヤなのかよ」
「そういうわけじゃないけど……」
あたしが気にしてるのは、レイカちゃんのこと。
クリスマスイブの作戦だよ?
イブは普通、恋人と過ごしたいって思うんじゃないの?
それに……あたしだって気が引けちゃう。
いくら親友のためだと言っても、イブに人の彼氏とダブルデートなんてーー…
「何が引っかかんの?」