「確かに、私も行きたいかも!!」


目の前で繰り広げられる会話にあたしはついていけずに、ただ2人を目で追った。


ほんの少し残ってるアイスティーをストローで吸い上げながら、注意深く話を聞いていると。


“夢の国”とか“クリスマスパレード”とか“現実忘れる”とかって単語が飛び交っているところから推測して……


2人が話しているのはどうやらディズニーランドのことらしい。


確かにディズニーランドなら、あの颯太も少しは興味を示すかもしれない。

頭の中で、ディズニーランドにいる颯太と亜依が手をつなぎながら「あはは」とか「うふふ」とか言ってる姿を想像してしまった。


そしてそれがやがて、深いため息に変わる。

いつのまにかそのビジョンが、楓とレイカちゃんにすりかわってしまったから。


その時、何やら熱い視線に気付き顔を上げると、楓と亜依が、目をキラキラさせながらこっちを見ていた。


「……え?」


こ、これは一体何を期待されてるの?

そういえばさっき、亜依の「二人っきりじゃ……」とかいう声が微かに聞こえた気が……。


ってことは、まさか!?

む、ムリムリムリムリムリ!!


「や、何言ってんの!?あたしは行かないから!!」

「だってあたし二人っきりじゃ不安だし」

「オレもディズニー行きたいし」

「ちょ、ちょっと待って!!亜依より何であたしがあんたの望みを叶えなきゃいけないわけ!?」

「だって三人はイヤじゃん?どうせならダブルデートしようぜ?」


だ、ダブルデート!?

楓はクリスマス、レイカちゃんと過ごすんじゃないの!?


「でもあたしは!」

「まぁまぁ、ちょっとこっち来いって」


そう言うと楓は、あたしの肩を抱きながら廊下へ連れ出した。