こんな2人を見るのは初めてじゃないけど。

楓に想いを寄せるあたしにとっては、何度見たって胸がズキズキ痛んで、一刻も早くその場を立ち去りたくなるような、そんな光景。


『あれー?虹那ちゃん?こんなとこで楓と何してんのぉ~?』


やっとあたしに気付いたレイカちゃんが、顔をしかめる。


『何でもないよ。じゃあね、楓』


楓が何か言いかけたけど、それを待たずにクルッと背を向けると、反対方向へ走った。


これ以上あそこにいると、泣きそうだったから。


走り出した途端涙が零れたけど、2人に見られていないから大丈夫。


急いで校舎に駆け込み、息を整えながらそっと2人の姿を探した。

2人は腕を組んだまま、楽しそうに笑いながら校門をくぐっていく。


『……っ』


あたしはその後姿を、ただ遠くから眺めることしかできなかった。

どんなに願ったって、楓はあたしのものにはならない。

楓があんな優しい笑顔を向けるのは……レイカちゃんだけなんだって、改めて思い知らされた。


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「ああーもう!!思い出しただけでも、あいつマジムカつく!!」

「お、落ち着いてよ!でもまだ付き合ってるって決まったわけじゃ……」

「いーや!!あんないいかげんな男なんて、こっちから願い下げだから!!」

「誰が願い下げだって?」

「「あ……」」