呼吸を整えてからドアに手をかけた。


「蒼、いる?」


走ったせいでボサボサになった髪
を整えながら中に入った。


「空。おめでとう。」


笑顔の蒼がいた。


余命宣告から1ヶ月が経とうと
していた。

大学の入学式が遅いのか…
高校の卒業が早いのか…


「ありがと!」


あたしは、さっき覗き込んだかばん
からカメラをとり出して
近くにいた看護婦さんを呼び止めた。

「あの、」

「あっ、いいわよ。」


看護婦さんは笑いながら言った。