蒼のお母さんの切実な願いは
鋭く冷たく、でも確かにあたしの
心に刺さった。


「分かりました。」


そう言うしかなかった。


あたしはそれから、蒼の検査を待たずに

「用事があるので…」

と言って、病室を出た。

ほんとは用事なんか無かったけど、
あたしに病室に居て、蒼を待つ勇気など
無かった。



蒼はもう1年も生きられないかも
なんて、あたしが受け入れられるはずが
ない。


蒼が居なくなって、すぐ前を向くなんて
そんな事、簡単にできるハズがない。


きっと、自分に言い聞かせても、
すぐに耐えられなくなると思う。