「蒼が病院に通い始めた頃からなの。」

蒼のお母さんが話し始めた。


「私達の一家はあまり家に揃う事が
 なかったの。
 お父さんも私も仕事に出かけてて。
 蒼に兄弟が居なかったから、
 面倒も私の姉夫婦が見てくれてた
 の。
 蒼が通院し始めた頃、事の重大さに
 私とお父さんが話し合って、
 私が仕事をやめたの。
 
 今まで仕事で、家に居なかったけど
 何でも言われた事をこなして、
 頭もいい蒼は1人でも何でも
 任せられるって思ってた。

 病気になっても、私の前では
 一切弱気を見せなかった。」


小さく言うと、蒼のお母さんは
少し寂しげな目をしてた。


「空ちゃんの事を私に話し始めたのも
 入院して、私と話す機会が増えて
 からだったわ。
 今まで普段の会話ってのがなかった
 のもあって。」