「この子は心臓の位置が逆なんだ。人間なら然程問題ではないんだが、1㎏満たない小さな体には、はかりしれない負担がかかってしまう。体力的にも今手術をするのも困難です。定期的にこちらに来て頂きたい。」


言葉がでない、信じられない、
あいつはヤブ医者だ…

「あぁ!品川先生がおっしゃるなら大丈夫ですよ。あの方はこの界隈では名医で有名だから安心して下さい。」

…そんな事が聞きたかったわけじゃない!
誰かももを助けてくれ…金はいくらでも払うから…オレから…大切な物を奪わないでくれ…

心配そうにオレを見つめるもも。

23年生きてきて誰かの為に初めて涙を流した。
小さな体を抱き寄せると慰めるかの様に涙を舐めてくれた。

その優しさに肩を震わせながらまた泣いた。