中学3年間、一応吹奏楽には
はいっていた。
(ちなみに楽器はクラリネット)



中学のブラスは悲惨だった。ピッチはバラバラ
練習も真面目にしない。基礎練だってしない。
だから、パート練習にも参加しなかった。

ずっと1人で、全てをこなしてきた。



中学の中では人数は多いほうなのだろうが
いかんせん、真面目にする人のほうが少ないのだ。

クラリネットは私を含めて7人も居た。
しかし、真面目に練習をするのは3人。


(――…いやな事思い出しちゃったよ)



それにあまりにも苛立った私と
中学時代の親友、「夏輝」は皆に
文句を言ったのだ。



自我の強い自己中心的な中学生。
勿論、素直にはい、なんていうはずがなかったのだ。


2対34



勝てる筈なんて、最初から無いのは分っていた。

だから、負けた。負けたと言うよりは部活には
殆ど行かなかった。先生に許可を貰い
個人でやっていた、に近い。




「あっ名前を教えてもらってもいいかな?」



はっと、先輩の声で意識を戻す。


「あ、宮野 凛音です」
「……凛音ちゃん?」



一瞬先輩の動きが止まったような気がしたのだが…。



すると先輩はクルリと身体を反転させた。
そのひょうしに長い髪がさらりと揺れた。


「潤ーっ凛音ちゃんってこの子!?!?!?」