歯を磨いていて

ブラシの部分じゃない

プラスチックの柄の先で

歯茎を小突く

そんな時


こんな痛みを

心に感じてしまう人達を思い

僕は願う


「ああどうか、心の痛みに気付かないで」




そして僕は物申す


「チクンと刺さるその刺激を『痛み』と感じてしまう貴方の繊細さこそが曲者なんですよ」




気付かないでいれば時と共に薄らいでいく痛みを、それが疵だと認識する事に依って自ら押し拡げ、塩を塗り、自己再生のホメオスタシスも追い付かない、ついには取り返しのつかない重症に追い込む心の悪循環に、貴方が巻き込まれない為にも……切に願って止まない。

「ああどうか、心の痛みに気付かないで」



楽しそうに僕の脇を過ぎる

女子高生達を見る度願う


「この子達の笑顔は本物であれ」




そして僕は物申す


「友達ならちゃんと心の中も思ん計ってあげて」




ひょうきん者の仮面を貼り付けておどけているその子は、実は心に深い闇を持っていて、ともすれば底の見えない深淵に自ら身を投じてしまう事も有るんだと、僅かに発しているSOSに気付いてやれるのは貴女達だけなんだと、でも実際あの子は芯から今を楽しんでいるのかも知れないし……だから切に願って止まない。


「あの子達の笑顔は本物であれ」



☆彡