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なんの気無しに季節は巡り
夏
前触れ無しに哀華は逝った
俺は少しだけど
臨床心理の心得が有った
なのに
それなのに
俺は彼女の『サイン』に
気付けなかった
その知識は
俺の自己満足を充たす為の
『具の無いしょっぱい澄まし汁』
でしか無かった
それは
誰の喉を潤す事も叶わず
空腹を
紛らわす事も出来なかったんだ
慌てて自分のBBSを見直してみたら
冗談めかしで
弱音を吐いている
哀華が居た
何も出来なかった俺
無力この上ない大人
二度と聞けない言葉
もう輝きを増す事の無い世界
奴は自分の言霊達に誘われて
あっちの世界に逝ってしまった