話したこともないのに
関わりとか
一切なかったのに
だいたい向こうは
アタシの名前
知ってるんだろうか
連絡先も分からないし
あれから全く
音沙汰なしよ
もしや…
からかわれただけ!!?
「山下さん…」
廊下で呼び止められ
立ち止まり、
顔を上げると彼がいた
「やっと目があった」
すごい照れくさそうに
笑うその姿に
アタシの心は揺さぶられる
「いつも…
いつも山下さんのこと見てたけど、俺は視界に入ってないみたいだったからさ…
やっとその目に写ることができて嬉しい…」
と少しほっぺを
赤らめながら
頭をかく
その仕草に
アタシの恋のバロメーターは
完全に振りきって
しまっていた
、