どうしてだろう。

 今になって、嬉しさが込み上げてくる。

 今日は、会えないと思っていたから。

 先生が部屋に来てもう何分も経つのに。

 今になってやっとその実感が沸いてきた。


「せんせ……っ」


 ソファの上から先生の首に腕を回して、のしかかるみたいに抱きつく。

 無理な体勢なのにも関わらず、あたしが苦しくない様に支えてくれている。

 そんな優しい先生が好きで好きでたまらない。

 抱っこするみたいに持ち上げられて、ソファから下ろされる。

 先生の隣に座らされたあたしは、少しだけ見上げるように彼を見遣った。