「あー、やっぱり倒れてる。可哀想なケーキでごめん」


「こうすれば平気ですよ」


 箱の中身はイチゴとチョコのショートケーキが二つ。

 倒れてしまって何だか汚くなってしまったそれを起こして、クリームを少し整える。

 そうすれば、かわいそうには見えない。

 視線が交わるとふわりと先生が笑んだ。

 下から見上げてくる笑顔で先生はあたしの手を取った。


「Happy Birthday,華南子」


「ありがとう……ございます……っ」


「おいおい、華南子、こんくらいで泣くなよな」


「泣いてませんっ」