「 …ごめんなさい 、傷付い
 た ? 」

 鈴守は時掛をチラ 、と見て
 優しく首を振った 。

 「 ゆっくりでも良いかな 」

 「 え ? 」

 「 時間が掛かってもいつか
 …仁花が僕を信じる日を探
 すから 。だから待ってて 」

 「 うん──… 」

 はにかむような笑顔を浮か
 べて 、ふと鈴守は時掛の腰
 辺りを自然な動作で叩く 。

 「 …何 」

 「 C'est incroyable… 」

 鈴守の呟きに時掛が彼の視
 線を辿る 。

 此方を向いた時掛の目が 、
 いつになく…動揺していて
  。

 「 このパーティの主催者は
 “ピーターパン”らしい 」

 ラスト 、ではなく 。

 「 ?現主人公ってこと ? 」

 「 うわ此方来る 。どうしよ
 うあの人嫌いなんだよね 」

 「 俺パス 。鈴宜しく 」

 「 えぇっ ? 」

 何やら一大事らしい 。

 「 大丈夫…なの ? 」

 「 多分 」

 先程パスを出した時掛は何
 故か自信満々だ 。


 近付いて来た人影は 、純粋
 に仁花を驚かせた 。

 「 よぉ 。元気そうだな 」

 「 ──はい 、先生もお元気
 そうで何よりです… 」


 大人になってしまったピー
 ターパン 。

 それは 、仁花の知る教師だ
 ったから 。