「 仁ー花 」

 「 す… !鈴守 !? 」

 鈴守が仁花の後ろに立って
 いる 。
 ──ていうか同じ学校だっ
 たんだ… 。


 「 呼んだ後だけど 、仁花っ
 て呼んでもいいかな ? 」

 「 あ 、うん !全然 」

 「 有難う 」

 すっごい 、綺麗に笑った 。
 ──綺麗過ぎて 、こんな人
 私の日常に居て良いのかな
 なんて思う程 、綺麗だった
  。

 「 あの脱線事故 、怪我人は
 居なかったみたいだよ 」

 その言葉に仁花は はっと
 して 、氷が溶かされるよう
 な 、そんな風に緊張が解け
 て安心して 、鈴守に笑いか
 けた 。

 「 気にしてないかな 、って
 思ってたんだけど 。やっぱ
 り言っておこうと思って 」

 「 怪我人っていうか 、誰か
 死んじゃってないかって心
 配だったの 。ありがとう 、
 教えてくれて 」

 仁花がお礼を言ったことに
 驚いたのか 、ひとつ瞬きの
 あと躊躇うように笑顔にな
 る 。

 ──凄く繊細な人なんじゃ
 ないのかな 。

 こんな世界に置くのは勿体
 ない程に 、綺麗で 。

 「 あ 、仁花 。昼休み暇かな
  ? 」

 思いがけないお誘いだった
  。