「…お優しいんですのね…桐會さんは…お母様とは大違いですわ…」



ため息をつきながらも、無理に桐會に向かって微笑みかける。



「お嬢様…そんなに大きな声で奥様の悪口を言われてはなりません。それにお優しいのはお嬢様のほうですよ」



少女が無理をしているのがわかるのだろうか、そんなに我慢しないでもいいのではありませんか?
とでも言いたげな顔をしていた。



「……そうではありませんわ…私がお母様にハッキリと物を言えないのが悪いのです…」



小さく独り言のように呟いた後、少女は何やら考えこんでしまった。