「咲乱、急いで御祖母様のところに行きなさい。さっき御祖母様から連絡があって、家に帰ったら御祖母様の部屋に直行しなさいとおっしゃっていましたから」
表情にはださないものの、桔梗が焦っているのは明らかだった。
「はい、お母様」
少女はすぐに返事をして家に向かって走って行く。
それに続くように桔梗に深々と礼をして桐會が走って行く。
少女は桐會が追いつけるように少しスピードを落とす。
そこへ桐會がすぐに追いつき二人がちょうど並んだところで少女が口を開く。
「桐會さん…申し訳ありませんわ…いくらお母様の前だからといってもあのような言葉遣いを…」
そう言って少女は顔を伏せる。
「…お嬢様のせいではありませんよ。奥様が変わられてからいつもこうではありませんか。毎日お嬢様は私に謝ってばかりでいらっしゃる…1番辛いのはお嬢様ではありませんか?」
桐會は優しい笑みをもらす。