別れてほしい…。

3年も付き合ってた彼女から、言われた。

どうしてだよ?
何でだよ?
冗談だよな?

彼女に、何回もそう言ったが、彼女は俯いて、“ごめん”としか言わない。

彼女の顔で、それが事実である事を知らされた。

急過ぎて、涙も出なかった。
俺は、その場から逃げた。

彼女の友人に聞くと、彼女には他に好きな人がいると言われた。

俺が苦しんでる今、彼女自身も俺より、苦しんでる。

そう思うと、今までの事が全て真っ白にされそうで恐かった。

悩みに悩み、彼女を電話で呼び出した。
そこは、俺が彼女に、告白した場所。

彼女は、現れてくれた。
だけど、彼女は不安な顔で俺に近寄る。
あぁ…俺は、彼女にこんな顔をさせてたのか?

俺は…彼氏失格だな。
ごめん、不安がらせて。
もう、楽になっていいよ。

だから、俺は決意したんだ。今、彼女を救うんだ…。

“―別れよう。”

俺がそう言うと、彼女は驚き、そして泣いた。
小さく、啜り泣く彼女の肩を抱くのは、もう俺の役じゃない。

俺は、彼女の頭に手をのせて、呟いた。
“ごめんな。辛かったよな…”

なおも泣く彼女は、俺の言葉に、大きく首を横に振った。

強がるのは、彼女の性格。

最後に、彼女は…
“ありがとう。”
と、笑顔で言ってくれた。
その時、彼女との思い出が走馬灯のように動き出す。

いつも、笑顔でいてくれた彼女は、もう…いない。

彼女が去った後、俺は小さくなって、小さな声で泣いた。

出来るなら、彼女と幸せになりたかったが、出来なかった。
ならば俺は、彼女の幸せを願おう。

そう心に決めた。