わたしはその日
潤の教室を訪ねた
潤と話したかった
谷君とサツキちゃんを除いたら
わたしにはもう潤しかいない
「珍しいね」
教室のドア枠に手をついて
潤が意地悪な笑みを浮かべた
あの時のことが
なかったかのように
今はその方がありがたいけど…
「潤…あのね…」
わたしは何から話していいのかわからず
押しかけて来ておきながら
黙り込んでしまった
「どーしたの。
谷とケンカでもしたか」
谷君…
その名前が出てほっとした
「ケンカではないんだけど…」
「何かあった?」
潤の声色が少し優しくなった
「わたし、谷君と付き合ってていいのかな」
「…は?何言ってんの。
てか、どういう意味?」
今度は呆れたような顔を見せる潤
「わたしと谷君…違いすぎるかなって…
友達に、住む世界が違うって言われたの
その通りだなって思った
そしたら急に自信がなくなって…」