わたしはそのまま通り過ぎた



2人ともわたしに気付かなかった






麻由子が後ろから追いかけてくる



「ちょっとハルちゃん!

どうかしたの?」



「………」



わたしはその呼びかけに

応えることができなかった



動悸が速くなっていく



ドクドクドク…



わたしの脳裏には

さっき見た谷君の顔が

焼き付いて離れなかった



谷君の

あの表情



そう



サツキちゃんに感じたのと同じ

“怖さ”を



わたしは谷君にも

感じてしまったんだ