「ハルちゃん?」



麻由子の声で我に返った



わたし

いつの間にか立ち止まってたみたい



「あ…ごめん!行こっ」



わたしは足早に歩き出した



廊下の逆側を通って

サツキちゃんの視界に

入らないように



目が合わないように

下を向いて



でも



なぜか一瞬だけ顔を上げてしまったの



その時



サツキちゃんが話してる相手が見えて






ドクン



心臓が大きく脈打つのを感じたんだ



そこにいたのは






谷君だった