1年前のある日の放課後
わたしは当時任されていた委員会に出ていて
下校するのがいつもより遅くなった
バスの時間が合わなかったから歩いて帰ろうと
裏門に向かって校舎の横を通りかかった時だった
植込みの向こうに
人の気配を感じたんだ
見てみると
「…福岡くん!?」
好きだった頃とは全然違う姿だったけど
何度となく見つめたその顔は
忘れるはずもなかった
その顔に…
あざをいくつも作って
あちこちから血がにじんでる
わたしは夢中で駆け寄っていた
「大丈夫!?」
ハンカチで傷口をおさえる
「…あ…あぁ、ありがと…」
潤はぼんやりながらも返事をした
その時
横で倒れている人がいるのに気付いた
「だ…大丈夫っ!?」
気を失ってるかと思ったけれど
幸い意識はあるみたいで
薄く目を開いた
「あ…よかった…」
わたしはハンカチを裏返して
その人の口の横をそっとおさえた
「保健の先生、呼んだ方がいいかな」
「あ、いや…
それより…もう行った方がいいよ」
先生らしき声と
数人の足音が聞こえてきた
わたしを巻き込まないため…?
わたしは潤に従って
そのままその場を去ったんだ