「おい…谷ってヤバくね?」



「ハルちゃん何したの…?」



「え…何かの間違いじゃない?」



「谷君とハルちゃんなんてあり得ない組み合わせでしょ」



「いや。谷なら何してもおかしくねーよ」



ざわざわ。



教室のあちこちでわたしの名前が飛び交ってる



谷君…



わたしでも知ってるくらい有名な人



学校一の問題児



そんな人が

どうしてわたしを…?



「とりあえずボコられるな」



「ちょっと!縁起でもないこと言わないでよっ」



「さすがに女には…なぁ?」



「いや。谷なら何してもおかしくねーよ」



ざわざわ。



「…ま…麻由子ぉ…」



わたしが半ベソをかきながら麻由子にすがりつくと



麻由子は首を横に振って

言った



「…ご愁傷様です」



「ちょっ…見捨てないでよぉっ」



誰にともなく助けを求めて教室をぐるりと見渡すと



みんな

すぅーっと目をそらした



「…!!薄情者ぉっ」