廊下を通り過ぎて行く同級生は

あからさまにわたし達をジロジロ見ていく



たぶん正確には

みんなが見てるのは

わたし



“谷君の彼女”



たまに聞こえるんだ



「普通の子じゃん」



「なんであんな子?」



そんなの

わたしが聞きたい






「ハルちゃん?」



谷君の声で我に返る



「いい?」



え?



何か言ったの?



聞いてなかった…



「やっぱ、嫌かな。

休み時間まで来たりしたら」



あっ!わかった



きっと

教室に来たこと

気にしてくれてたんだ



「ううんっ全然っ」



慌てて顔の前で手を振る



「そっか。よかった…」



谷君の表情が柔らかくなる



きゅん

ってしちゃうような

とろけそうな笑顔



ねぇ谷君…



そんな笑顔向けてくれるなら



わたしもう



人の目なんて気にしないでいられるかも