潤は 握った手に力を込める 腕が痛くて 少し 思考がはっきりする 「…でも…わたし…」 「行くな…!」 潤は わたしを制して 掴んだままの腕を 強引に引き寄せた そして 大きな手のひらで わたしの頭を 自分の胸に押し当て もう一度 言った 「行くな」 抵抗するように 体を動かしたけれど 今度は潤の腕がすっぽりとわたしを包み きつく きつく 抱きしめられた 「頼むから…行かないでくれ…」 潤の声が 震えた