何を言ってるの?
あの日って…?
潤がわたしを助けた?
まさか
カラオケボックスの?
谷君
見てた…?
「自分では気付いてないかもしれない。
でも、あの時ハルちゃんは、
なんていうか…目が、違ってた。
俺を見る目なんかよりずっと、
潤のこと、大事そうに見てた」
そんな…
確かに
助けてくれた潤は
すごく頼もしくて
打ちのめされていたわたしは
潤にすがってしまった
でも
わたしはあの時も
谷君が好きだったのに
そんなの
納得できるわけないよ
「今考えれば、どうしてもっと強く
信じられなかったのかなって思う。
ハルちゃんは俺を好きだって、
ずっと好きでいるって、
言ってくれたのに…」
谷君は
足元に視線を落とした
「弱かった。
淋しくて、淋しくて、たまらなくて、
雨宮んとこ行った。
そしたらあいつが家で大変なことになってて、
そのまま連れて帰ったんだけど」
胸がドクンと脈打つ
それが
あの日…だ
手が
震える
いや…
思い出したくないのに…
なんでそんなこと言うの?
立ち直ろうとしているのに
どうしてわたしの前に現れて
そんなこと言うの?