「あ…ごめ…」
わたしは体勢を整えて
ついた手を離した
相沢くんは
やっぱりクラスメイトの視線を気にしているのか
ちらりと視線を投げかけながら
小声で言った
「気にするなって言っても無理だろうけど…
あんま、あいつらのこと、相手にするなよ」
「え?」
思いがけない言葉に目を丸くする。
「みんな、たぶんわかってるよ。
おもしろがってるだけで。
だから、そんな心細い顔するな」
「あ…」
反射的に
手で口元を覆う
わたし
そんな顔してた?
ううん
そんなことより
そんなこと
言ってくれる人がいるなんて
鼻の奥がツンとして
泣きそうになった
今度は
さっきとは違う
あったかい涙