わたしたちの通う学校は小高い丘の上にある



わたしはバスで

谷君は自転車で通っている



だから今日は

自転車を押す谷君の横を歩いてる



季節は初夏



並木道がみずみずしい葉を茂らせている



「バスだとね、この並木道もあっという間に過ぎちゃうの」



自然と言葉が滑り出した



「気持ちいいね…。

あ、谷君は自転車でここを走るのかぁ。

それも気持ち良さそう」



笑いかけたところで我に返った



わたし

調子に乗ってしゃべりすぎたかも



谷君はわたしをじーっと見てる



呆れてるかな…って心配になってきた時



「ハルちゃんといると、いろんなこと知っていけるんだろうな…」



谷君の表情が

ふ…と和らいだ



優しい笑顔



この人

みんなが思ってるような人じゃないよ

絶対