その日の昼休み
1人で廊下を歩いていると
教室から谷君が飛び出してきた
あ
E組なんだ
って
彼女なら知っておこうよ!って
麻由子にあきれられそう
谷君はわたしの前に立ちはだかって
「………」
何か言いたげ
「……」
ちょっと待ってみたけど
何も言わないから
「こんにちは…」
とりあえずあいさつしてみる
「あっこんちは!」
谷君が慌てて口を開く
でもそれっきりで
落ち着かない様子で
足元のあたりに視線を泳がせながら
頭をかいたりしてる
緊張…してるように見えるのは
わたしの気のせい?
「あ、あのさ!」
谷君が覚悟を決めたといわんばかりに
勢い良く言った
「今日、一緒に帰ろう!」
…一緒に帰ろう?
あ
わたし
ほんとに谷君の彼女なんだ
…なんて
今さらだけど思う
そんなこと考えてたら
返事するの忘れてて
「ダメ…かな」
谷君が恐る恐る口を開く
怖そうな谷君が
困った顔をしてる
もうっ
だからかわいいんだってば!
わたしの顔は自然と笑顔になって
「うん。一緒に帰ろ!」
相手が不良さんだってことを忘れて
思いっきり馴れ馴れしく返事をしてしまった
「マジ!?っしゃ!!」
谷君がうれしそうだから
いいのかな?