屋上に続く階段
わたしのお気に入り
屋上のドアは施錠されてるから
あまり人は近付かない
今日は麻由子に引っ張られてここに来ているわけだけど
当の麻由子はというと
「…信じらんない…」
さっきからそればっかり
まぁ
わたしもなんだけど
「理由は教えてくれないって…
なんか怖くない?」
怖い?
「ん…確かに。
でも…真剣だった」
からかわれてるわけじゃないって
なぜか信じられた
谷君のことなんて何も知らないけど
「悪い人ではないと思ったんだ」
麻由子はわたしの顔をじっと見て
わたしが本気だってことを納得してくれたみたい
「そっか。
でも気をつけてよ?
ハルちゃんに危ない目にあってほしくないから
言ってるんだからね」
「麻由子…ありがとぉ…」
心配気な麻由子の表情
やっぱり親友だなぁ
…なんて感激していると
「でもどうしてハルちゃんなわけ?」
がらりと口調が変わって
どこか不満気な麻由子
「ちょっと。
どーゆー意味よ」
わたしが告白されるのが意外だっていうのね?
自覚してるけど
なんか悔しいから
口をとがらせてすねて見せる
「だって谷君っていえば…」
え?
麻由子がハッとして口ごもる
「どしたの?」
「…ん?うーん。
『彼女』に言うべきじゃないかなと思って」