「谷君…?」
谷君は
わたしから目をそらした
のぞき込むと
顔が赤い
谷君?
自分で言わせておきながら
谷君が照れてるの?
ふ…と
わたしの頬が緩んだ
愛しい
こういうところが
愛しいんだ
わたしは勇気を出して
谷君の肩に
そっと腕を回した
抱きしめてくれるのは
いつも谷君の方だったから
「…っ!
ハ…ル…ちゃん?」
わたしの腕の中で
これまでにないほど動揺する谷君
そんな谷君がかわいくて
わたしは抱きしめる腕に
力を込めた
谷君は
戸惑いながらも
わたしを抱きとめてくれる
「不安にさせてごめんね…」
わたしは
谷君の耳に口を近づけて
そっと言った
「ありがとう…」
わたしを
好きになってくれて
好きでいてくれて
ありがとう