潤はまるで
わたしをなぐさめるかのように
強く手を握っていた
歩きながら
潤が言う
「気にするんじゃないよ。
あんなヤツらの言うこと」
潤の口調に
まだ興奮は残っているけれど
さっきとは違う
わたしの知ってる潤に戻って
安心したわたしは
体の力が抜けて
足を止めてしまった
「ハルちゃん?
大丈夫?」
心配そうにのぞき込む
潤の瞳
わたしは泣きそうになった
潤がわたしを守ってくれた
全力で
心の底から
わたしのために怒ってくれた
潤…
わたし
うれしかった
「ありがと…」
それだけ言うのが精一杯で
でも潤は
口もとを少しゆるめて
うなづいてくれた
きっと
潤がいなかったら
笹川さんの言葉に
立ち直ることができないくらい
打ちのめされていたと思う
もちろん今だって
胸はズキズキ痛むけど
でも
大丈夫
潤が守ってくれたわたしを
これからは
わたし自身が守っていかなくちゃ