鼻の奥に痛みが走って

わたしは泣きそうになっていることに気付いた



でも泣いちゃダメだ



辛いのは谷君なんだから…



わたしはそっと

自転車のハンドルに置かれている谷君の手に

自分の手を重ねた



「ハルちゃん?」



谷君は少し驚いた顔をしたけれど



やがて



「ありがと」



手を

握り返してくれたんだ