「それ、彼氏君のこと?」

「うぇっ!?」

振り向くと、棒つきの飴玉をくわえていた男子がいた。

「俺、同じクラスで笹野瑛。かなりの甘党です」

「あ…私…」

「馨。西宮馨ちゃんでしょ?」

「うん」

「彼氏、モテるね」

ズキッとした。
モテる…か。そうだよね、カッコイイもん。

「ほら、これあげる」

キャラメル味の飴玉をもらった。

「あ、ありがと」

「ううん。それより次の授業サボらない?」

「…うん」

一度もサボったことがなかったし、いいか。

和哉にも美沙にも会いたくないし。