歩き回っていると、うしろから誰かが太ももを触った。

「!!」

誰よ、今触ったの!
キッと振り返ると…琉がいた。
無表情で私を見ていた。

…どうしているのよ?
どうして?

何も言わないで、ただじっと琉を見ていると腰をつかまれ、バランスを崩して琉に倒れ込んでしまった。

「やっ、離してよっ」

「メイドだろ?」

「だからって…」

「来い」

腕を引っ張られて、教室を出た。
皆は忙しいからか、私がいなくても誰も気づかない。

「離してよ」

「強くなったな。笹野に何か吹き込まれたのか?」

「…そっちこそ、何のつもり?」

付き合っていたときは私のこと無関心だったじゃない。

さっきより力強く腕をつかまれた。