「いっつも、サイテーなことばっか言ってくるんだもん」

「お前、バカなんだよ。浮気されても何も言わないとか、マジありえね~」

「もう、うっさい!」

私は立ち上がって、逃げるように走った。

「馨!」

何なの、一体。

もうほっといてよ。誰が誰を好きになろうと関係ないじゃん。
イライラする。
和哉なんて大嫌い。悪口ばっか言うし。

大嫌いだよ。

私は走った。屋上に向かって走った。

扉を勢いよく開けて、座り込んだ。

「バカ、バカ、バカ、バカっ」

空を見上げて、ひとりで叫んだ。