「女の子待ってんじゃないの?行かないと怒られるんじゃない?」

「…笹野」

「馨は俺がもらう」

私は瑛に手を引っ張られながら、バイクが置いてある場所へと向かう。

うしろを見ると、琉はただ無表情で私達を見ていた。

…やっぱり、琉は私のこと好きじゃないんだ。

他の人にキスされても、無表情。今だって追いかけてくれない。


「馨。飴」

瑛は私に飴をくれた。
私は口の中に入れて、舌で転がしていると涙が溢れた。

「っ…ぅ」

琉は何で私と付き合ったの?
何で手を繋いだの?
何で海に連れて行ってくれたの?
何で…瑛を怒ったの?

どうして…?

ねぇ、琉。

どうして、悲しそうなの?