教室のなかでどんなにあたしが泣き叫ぼうとクラスメートは動じない。高校入学時にあたしにはすでに陽くんという彼氏がいて、彼となにかあるたびに所構わず芹香にすがった。
 彼がメールを返してくれなかったとき。彼の口調が冷たかったとき。不安の波に呆気なく流されてあたしは泣いた。
 入学から半年も経った現在、いい加減クラスメートもこの状況に慣れてしまったのだ。
 あたしの生活は自分でもびっくりするくらい、恋愛を中心に回っている。
「まあ、さ」
 芹香の手が伸びてきてあたしの頭にポンと置かれる。手のひらの温かさにまた涙腺がゆるむ。
「告白の時点で愛なんか語っちゃう男、ちょっとどうなのって思うけどね、わたしはさ」
 彼女の言葉は優しいのに痛烈だ。嗚咽すらも喉の奥に引っ込んで、なにも返すことができない。