そっちがその気なら乗ってやろうじゃない。勢い良く立ち上がり、カッカカッカと燃える頭であたしは叫んでいた。
「行く!」
 挑むように少し低い位置から睨み上げるあたしと、飄々とした態度で少し高い位置から見下ろす彼女。沈黙は一瞬だった。
 ふん、と彼女が鼻を鳴らす。口端を片方だけ持ち上げたかと思うと、ギターを下ろしケースに戻し始めた。
 彼女の背中を見つめながら、あたしはたったいま自分が言った言葉に頭を抱えたい気分だった。
 やってしまった。
 売られた喧嘩を買うとはこのことだ。しかも、随分と安売りされたものをぽんぽんと。