「わ、わたしちょっと
 トイレ!」


「「憂花!!??」」


嘘をついて中等部に走る。

泰介に彼女なんて、冗談か噂としか思えないもん!

しかも浦山先輩なんて、キレイで優しくて頭もよくて‥‥。



「泰介!」



教室の入口に、内向きに立っていた泰介が、肩で息をするわたしに振り向いた。


「…どーしたんだよ」


びっくりした顔をして、泰介がわたしに歩みよろうとした。

そしたら教室から白くて細い腕が泰介の腕をひいて‥‥。


ひょこっと浦山先輩が
肩下までの黒い髪を揺らして
小さな顔をのぞかせた。