軽いすり傷をしているだけで、何処も痛くなかった。

ニャアと私の腕から声がする。猫の方も大丈夫みたいだ。

いつの間にか猫を助けていたらしい。



さっきの車の人が出てきて「大丈夫ですか」と声をかけてきた。


「血が出てる!早く病院に連れていかないと…!」

えっ…血?
私何処も出血していませんけど…

「あなたじゃないですよ!
その後ろにいる人です!!!」


私は後ろを見た。


私から半径3メートルぐらい離れたところに黒崎君が倒れていた。


頭から大量の血を流している。


─そうか。

私が軽いすり傷ですんだのは彼がカバってくれたおかげだったのか。





ピーポーピーポー

サイレンが鳴り響いた。