でも、もう遠回りはしない。


流されない。


好きなのは海翔だけだから。


「あたしは・・・違う。」


真っ直ぐ目を見て言った。


南は悲しそうな表情だ。


「そっか。」


小さな笑顔の裏に涙が見えた。


付き合ってたから分かる、


本彼の苦しみ。


今、あたしが片思いしてるから南の気持ち分かる。


きっとあたしがしたコトは、


南がすっごく傷ついた。


あたしが海翔にされたら涙が止まんないことだったと思う。


・・・あ。


そうか、海翔にも好きな人がいるのかな?


だから、相手をこんな気持ちにさせなきゃいけない。


もし、あたしがこういう場合海翔に望むコトは?


「答えられないけど、気持ちは嬉しい。」


笑顔であたしの気持ちを受け入れてくれることだと思う。


だから、あたしも受け入れる。


「好き」の気持ちを大切にさせたい。


「うん。でも俺、やっぱ諦めねえ。」


そういい、南は髪をくしゃくしゃにした。


あたしはその場を後にする。










「弥生ねーちゃん。恋って難しいねえ・・・。」


家のベッドでごろつきながら、弥生姉ちゃんとガールズトーク。


「うんうん!でもやよは上手くいってるよ!」


弥生姉ちゃんは小さくて、女の子らしい。


ぱっと見すごくモテそうなタイプ。


あたしも姉ちゃんみたいになりたかった。


「姉ちゃんは片思いしたことある?」


「えー?やよはないよ?葵あるの?」


あたしは答えなかった。


姉ちゃん見たいに、片思いしなくても愛が欲しい。


そう、


あのときあたしは、楽を求めてしまったんだ。